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インテリア専門店かく闘えり 2005年11月25日号 | |||||||||||||||||
■株式会社石器人(横浜市都筑区) | |||||||||||||||||
コンセプトは「オンラインにおける接客業」 電話を活用し「顔」の見えるシステム構築 | |||||||||||||||||
数年前までは、誰もが「うまくいくはずがない」と決め付けていたこの商法も、今では無視できない規模にまで市場は拡大してきた。 そうしたネット販売の世界でトップを走るのが、叶ホ器人(横浜市都筑区・三橋真三社長)である。 三橋社長がネット販売をはじめたのは一九九八年。当初は某小売量販店に勤務しながらサイドビジネス的にやっていたそうで、脱サラ・法人化して本格的にスタートしたのは2001年に入ってからだ。 「まずネット販売をやろうと思い立ち、次に商品は何にしようかと考えてカーテンを選んだという流れです。カーテンを選んだ理由は、まだネット販売があまり浸透していなかったからです。ちょっと甘く考えていた部分もあり、当初はまったく売れませんでしたね」と三橋真三社長は語る。 三橋社長自身はサラリーマン時代に売場で多少の経験はあったものの、基本的にはインテリアは素人という。一緒に創業したパートーナーの松本氏がインテリアに精通していた。役割分担としては、自然と実務は松本氏、システム関連が三橋社長となった。 「本格的に始めたと言っても、HPは私の手づくりですから、少しは勉強もしましたが今なら中学生でも作れるような代物でした」 こうして創業したわけだが、最初の一年間は注文は少なかった。それが変わり始めたのが2002年に入ってからだという。 「変わったきっかけは、ページづくりを専門業者に外注したことです。販売システム自体は変えていませんし、見積フォームも自分が製作したのとそれほど違いませんが、分かったことは、ネットの世界はネットを本業にしている人達に任せなければダメだということです。独学では限界がありますし、何よりも『経験』が必要ということです」 もちろん、社会全体のネット販売に対する意識が高まったことも大きい。それらがうまくかみ合ったことで、業績は急拡大していくととなった。 その後、約一年前にサイト製作会社を変更、システムをリニューアルし、現在に至っている。 |
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キーワード連動型広告を駆使 最近では口コミで「石器人」広がる | |||||||||||||||||
「ネット販売」という言葉をイメージしたとき、この考え方を意外に感じる読者は多いかもしれない。 しかし、同社の販売システムを見ると、頷ける点は少なくない。 購買に至るバターンは何通りもあるが、基本的なパターンを紹介すると、消費者はまずHP上で気になる商品のサンプル(カタログや見本帳)を取り寄せるところから始まる。 サンプル発送には専門のスタッフが常駐していて、依頼から三日以内で全国へ届くような体制が整っている。 ちなみに貸出にかかる発送費用等はすべて無料で、返却用の伝票も同封される。 サンプル到着後、消費者はアイテム選びを行うわけだが、例えば質問など問合せをする場合は、メールはもちろん、FAXでも電話でもあらゆる方法で受付を行うという。その中でも電話の利用率が高いそうだ。 ただし、その後の見積依頼については、メールかFAXなど文書として残るものを使う。 見積書はPDF形式のファイルが使われ、メールで返送される。内容的には非常に細かく注意点が記載されているのが特徴だ。 そして最終的な商品決めと採寸。この時点では、かなりの確率で電話が利用されるようになる。電話で商品の提案を行ったり、採寸のテクニックを伝授したりするという。 こうした一連の流れの中で、お客との接点の大部分は電話となっていくわけだが、発注については、ミスをなくすため見積り同様、必ずFAXかメールで受け付ける。場合によっては、この後も電話で最終的な確認をとることもあるそうだ。 とても「ネット販売」とは思えない手間と労力のかけ方である。 「競合店の中には、即購入できるようなシステムを導入しているところもありますが、窓回り商品は、ワンストップショッピングというわけにはいかないと思っています。モニターのみで商品は選べませんし、細かい部分を接客できるようなシステムが必要です。中には『石器人さんは面倒臭いね』と言われる方もいらっしゃいますが、逆にそういう面が評価されているのではないでしょうか」 とかくネットは「顔」が見えないと言われるが、電話で話しているうちに互いに「顔」が見えてくる状態にもなるそうだ。 「接客は小売業なら当たり前のこと。当社はネット上にお店があるということです」 その延長として、ネットのみの「ダイレクト販売」の他に、現場に行って打合せや施工を行う「バウス石器人」というサービスも取り入れている。 これは地域の協力業者と提携して行うサービスで、今のところ地域はある程度限定されているが、すでに売上全体の約三割がバウス経由となっている。 「ただし、あくまで中心はダイレクト販売ですから、これ以上比率が高まるとは思っていません」
同社の場合、楽天などのショッピングモールよりも自力での集客に注力している。 販促のメインはオーバーチュアやアドワーズといったのキーワード連動型広告である。 これは、ネット利用者がヤフーなどの検索サイトで「カーテン」を検索した場合に、そのキーワードでスポンサー契約したサイトが広告枠に表示されるというものだ。費用は入札制で、人気のキーワードほど単価も高い。 同社では、ここに集中的に資本を投下しているのである。 「広告費用はかなりかかりますが、曜日や時間帯によって文章を変えたり、順位を変えるなど、チューニングを細かくやることで費用対効果を高めることが出来ます。これが私の一番重要な仕事となっています」 現在、朝五時に起床して、一番最初にやることがこのチューニングだそうで、一日に数回行っている。 今後は、この作業も外注化することを検討中とのことだ。 現在アクセス数は、ビジターのみで約一千七百件/日。すでに「石器人」という名前が口コミで広がり、「石器人」というキーワードで検索してくる利用者が全体の五、六位まで上がっているという。 「ネットの世界は、トップグループにいないとすぐに脱落してしまいます。その意味では我々も不安は小さくありません。今後はインテリア以外の商品の取り扱いも含めて、方向性を模索していきたいですね」と語る三橋社長であった。 |
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